「システム」を発見していたホイヘンス

関連ポッドキャスト: Episode#04 システムって何? その2

部屋に数日間引きこもっていなければならなかったこともあって、新たにこしらえた2つの時計の観察に没頭していたときのことです。その時計に、これまでおそらく誰も想像しえなかったような、驚くべき効果が見られることに気づきました。約30から60センチしか離れていない場所に吊るされた2つの時計が、その2つの振り子が片時も歩調を乱すことのないほど正確な一致を保っていたのです。

ホイヘンスが父に宛てた手紙より

クリスティアーン・ホイヘンスは、オランダの数学者、物理学者、天文学者であり、1629年生まれ、ニュートンの14歳年上であった。ホイヘンスはまた、時計の父とも呼ばれている、いわゆる振り子時計や機械式時計はホイヘンスの発明によるものである。このホイヘンスが20代のときに父に宛てた手紙には、システムを理解する際の重要な観点が記述されていた、それは、「システムは要素の和ではない」という発見である。

ホイヘンスが2つの時計の同期現象から導いた発見は、2つの時計が接続されたことによって、そこに新しい歩調が生まれたということであった。2つの時計の歩調が揃ったのは独立した時計の歩調が偶然に揃ったからではなく、2つの時計が接続されたことによって新しい「システム」がそこに形成され、新しい歩調が生まれたからであった。

システムは要素の和ではない。システムは全体として見なければいけないというホイヘンスの発見は、その後のシステム理解の視点に大きな転換を与えた。

ホイヘンスが発見した時計の同期現象は、システムを独立した要素の「動きの和」として記述することには意味がないことを教えている。接続された2つの時計システムを理解するためには「時計」、「壁板」というシステムを構成する要素と、壁板が時計の振動をつなげているという構造を記述する必要がある。つまり、システムを構成する要素を定義し、そしてそれらの関係構造を記述することがシステムの理解、すなわちモデル化に必要なのである。

PRePモデルは、業務や開発のプロセスをホイヘンスが発見したようなシステムとして捉えることによって問題の根本原因を究明したり、プロセスの設計や検証を行ったりしようというアプローチである。