要求工学におけるPRePモデルの位置付け

「仕様記述とは、問題空間で定義された概念構造を用いて、要求空間と機械との関係を記述することである。」
– Michael Jackson, Software Requirements and Specifications, 1995

業務プロセスのモデル化は、ITシステム(以下、「システム」)設計に先立って行われます。そこでは本来、システムの仕様を記述するための構造化された要求空間の概念が定義されます。しかし、今日の多くの業務プロセスのモデル化手法(BPM)では、要求空間の概念の定義ではなく、システムの仕様が記述されていることに気がつくでしょう。これは、多くのモデル化手法が処理の手順で業務プロセスをモデル化しているためなのです。処理の手順は、システムの仕様に依存するのです。

PRePモデルは、成果物ベース(Entity Base)のプロセスのモデル化手法を採用することによって、要求空間の概念構造をモデル化するための方法です。構造化された概念は、そのまま、システムの仕様に構造的にマッピングすることができ、そうすることによって、現実世界とシステムとのトレーサビリティーが取れるようになります。

一方、成果物ベースのプロセスのモデル化手法では、何を成果物とするのか、といったモデル化のルールが難しいとされています。

PRePモデルでは、概念構造体を構成する概念単位(Entity)とそれらの関係の定義方法を決めています。さらに、「業務」の意味付けと、その基本構造の定義などを行うことによって、システムの要求空間としての業務の概念構造のモデル化を実現しています。